ヤフーは、他社の正社員で副業をしたい人を募集し、社外人材約100人を活用すると発表した。事業戦略の立案や新規事業の開発などで多様な人材を集め、技術革新を図る。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d7427cad7eaaf73c4b295037bf6c3f7e2bec08c9
副業人材、フリーランス人材が取り沙汰されて賑わう昨今、ついに日本を代表する「ヤフー株式会社」が他社で働く人材を籍を置いたまま雇うと発表しました。
しかもその数、、9月末までに「100人」!
非常に興味深いニュースなので改めて解説していきます。
誰もが知ってる超巨大企業「ヤフー株式会社」
「ヤフー株式会社」
恐らく当企業を知らない方は日本全国老若男女においてほとんどゼロに近いのではないでしょうか(芸人のナイツさんはご存知ないみたいですが)。
2019年に持株会社体制移行によりZホールディングズへと商号変更したものの、根底のサービス展開は1996年より継続してその名を世界まで轟かせており、言わずもがな日本を牽引する大企業の一つです。
現在「ヤフー株式会社」という商号は既存サービス含めZホールディングスの子会社として位置しており、主要事業は「イーコマース事業」「会員サービス事業」「インターネット上の広告事業」等々です。
中でもかの名高い「Yahoo!JAPAN」は国内初の商用検索サイトとのことで、今では毎日1,000万件以上のアクセス権を持つ全世界最大のwwwサイトの一つです。
ソフトバンク株式会社が主要株主なのも有名ですよね。
そんな超巨大企業が副業人材を積極的に登用するということで、各方面で大きな話題となりました。
募集する副業人材の職種
募集職種は以下のようです(参考:日経新聞2020年7月16日)。
職種 | アドバイザー | 事業ごとの専門人材 |
---|---|---|
業務内容例 | ・新規事業プラン提案 ・新サービスの企画立案 | ・提携や企業買収の戦略立案や交渉 ・新規メディアの立ち上げ |
必要な経験・スキルの例 | ・枠にとらわれない発想 ・良いサービスを作る強い気持ち | ・企業や新規事業の成功体験 ・エンジニアとして卓越した技術 |
契約期間 | 2~3ヵ月 | 人により異なる |
業務時間 | 月5時間程度 | 週1日相当以上 |
委託料 | 月5万円 | 月5万円~15万円 |
こういった条件ですね。
因みに見慣れない方もいらっしゃると思うので簡単にご説明すると、正社員として会社に入社する雇用契約と異なり、副業人材は「業務委託契約」という契約形態が取られます。
この「業務委託契約」の中にも3種類の契約形態があり、【①委任契約】【②準委任契約】【③請負契約】と内容により適切な形態は異なりますが、総称して「業務委託契約書」として契約を取り交わすことも多いです(NDA=秘密保持契約も同時に締結します)。
一般的には【①委任契約】は使う機会が少ないので、それ以外を覚えておけばいいでしょう。
ですので条件表の「委任料」や「業務時間」という言い回しは副業やフリーランス独自の表現になりますね。
また「契約期間」も副業ならではのものです。
通常正社員であれば雇用契約書内で「期限の定め無し」とされることが多いところ、業務委託人材の場合は「〇〇ヵ月」「〇年」等の契約期間の定めがあるケースが多いです。
これはプロジェクト単位のアウトソーシングであったり、一時的に外部の知見を得る時等という理由から、原則契約書に明記する項目です。
つまり副業人材、フリーランス人材は雇用人材と大きく異なり、外注の側面が強いという見方もできます。
異例の施策の背景
既に副業を認める企業が徐々に増えている中、近頃それを後押しするかのように時間を軸としない「ジョブ型」のような新たな働き方がフォーカスされています。
これは勿論新型コロナウイルスの影響が一つの要因として考えられます。
ヤフーでは現在約7,000人の社員の約95%が在宅を含む社外で勤務しているとのことで、積極的に従来の働き方からの脱却に取り組んでいます。
当該企業執行役員の声明でも「オフィスに通う機会が減り、今後は隙間時間で副業する人が増える」と述べている通り、近頃の情勢も踏まえた施策と捉えることができますね。
また国内の副業志願者もコロナ禍で増加傾向にあるというように、ニーズも的確にキャッチしています。
事実、副業・フリーランス向けプラットフォーム大手のクラウドワークス社でも、この半年間で登録者数が50万人以上増加したという根拠も大きな裏付けとなるでしょう。
このような背景からヤフーの情勢を鑑みた先鋭的な施策は、非常に理にかなったものと言えるでしょう。
Bitters Clubによる考察
日本ではまだまだ本業への影響から副業へ抵抗が拭えない企業が多い中、ヤフーのような大企業がこのような試みを始めることによりある程度従来の固定観念が緩和されはじめていくのかなと感じました。
そういった意味合いでも非常に目を見張る取り組みだと考えますので、実際の契約された副業人材の動き方含めて大変楽しみです。
また募集内容が「新規事業プランの提案」「新サービスの企画立案」「提携や企業買収の戦略立案や交渉」ということで、委託内容としても非常に高度なスキルが必要な内容となっています。
委託料に対しての業務時間を計算すると「時給=1万円以上」がほとんどです。
このような高度プロフェッショナル人材が100名集まることでヤフーにどのような価値をもたらすのか、非常に気になりますね。
そしてここからは私見ですが、これは大変有効的な「採用活動」でもあると感じました。
募集のようなハイレベルな人材をまずは「業務委託」として囲って、その中でスキル、ポテンシャル、人格等分析した上で自社の社員として引き込む、、これが実現できてしまいますよね。
通常のハイスペック社員を雇用する場合は数ヵ月の試用期間があるのみで、対外的に比較しふるいにかけることは困難ですが、業務委託のような短期間契約であればそれが可能となります。
そういった意味でも「リソース」部分に注目した二度美味しい施策であると感じました。
弊社も業務委託でご依頼を請け負うことがほとんどであるため、このような潮流が今後益々世間に浸透していくことを願うばかりです。