プレジデント誌による営業1000人大調査
歴史に残る世界的ウイルスが社会の在り方を変えた2020年から新年が明け、年頭から2度目の非常事態宣言と共に驚異的な寒冬に見舞われている近頃です。
1年前の年始を振り返ってみると、まさか1年後にはこんな世の中になるなんて思いもしませんでした。
切実にコロナ以前の、当たり前のように出社し、当たり前のように飲みに行く、そんな日常を取り戻したいと願うばかりの毎日です。
さて、2020年1月15日発行のビジネス誌「プレジデント」で大変興味深い特集が掲載されておりました。
1000人大調査!コロナでも売りまくる「トップ10%」の秘密
積極訪問&会食OK「新」行動様式
なるほどなるほど。
コロナ禍で飲食や宿泊、レジャーをはじめとした各業界が多大なる売上減少のダメージを受けている中、そんなコロナ禍で「売りまくる」という表現は目に留まりますね。
今回はプレジデント社が年商1億超の企業経営者やフリーランサー等を対象に独自調査した、「コロナ禍で売れる営業マンの秘訣」について一部を抜粋して解説します。
営業に限らず、少し調べれば程度の差はあれど何でも情報が手に入り情報過多になってしまう昨今ですが、統計に基づく現場の実態を反映したこちらの記事を読んで、今一度貴社の営業形態を見直してみてはいかがでしょうか。
コロナでトップセールスマンはどう変わった?
まず、コロナ禍で「トップセールス」と呼ばれる営業領域において優秀な方々は、実務内容がどう変わったのか。
一般セールスと比較した統計が記載されていました。
結果はこちら。
■一般セールスの場合
コロナの影響で売上が増加、または変わらない・・・39%
コロナの影響で営業機会の増加、または変わらない・・・39%
■トップセールスの場合
コロナの影響で売上が増加、または変わらない・・・60%
コロナの影響で営業機会の増加、または変わらない・・・60%
※数値は「大きく増加」「増加」「変わらない」の合計パーセンテージ
それぞれ各項目の合計値は同パーセンテージになっているものの、一般セールスとトップセールスでは統計に大きな乖離が見て取れます。
これが示すこととして、コロナ禍でも大半のトップセールスマンは売上が以前と変わらない、もしくは増加している、という事実が明らかになります。
しかしご多分に漏れず、一般セールスはおよそ6割強の割合でコロナの影響をモロに受けてしまい、それに対応できず売上減少や営業機会損失に陥っていることがわかります。
同じ「営業」という領域でここまで差が出るものでしょうか。
驚きの結果ですね。
では、一般セールスがコロナ禍での営業活動に支障を来している理由はなんとなく想像がつくとして、コロナ禍で売上を伸ばしているトップセールスは一体どんな営業を行っているのか。
彼らの行動原理をより深堀りして紐解いていきましょう。
トップ営業マンのコロナ禍での主な営業手法は【対面営業】
見出しで面食らった方もいらっしゃるかと思いますが、まずはこちらも以下に統計を抜粋します。
■コロナ前後で営業はどのように変化しましたか?(複数回答)
※トップビジネスマンの回答
・オンライン営業:「21%」(コロナ以前) ⇒ 「65%」(コロナ後)
・訪問、対面営業:「88%」(コロナ以前) ⇒ 「73%」(コロナ後)
あれ?
オンライン営業が増えたのはわかるけど、トップセールスマンは対面営業も普通に行っているの?
と思った方、そのとおりです。
オンライン営業が隆盛したことによって、対面営業が前時代的な手段になったと思いきや、実は「微減」程度であったのです。
さらに現実では「オンライン営業」よりも多くの割合で未だに「対面営業」が実施されているのです。
これは意外な結果です。
そしてこんなデータが出てくると一部の自粛警察の方から猛烈な批判を浴びそうなところですが、そこはトップセールスマン、TPOをわきまえて対面営業を実施しているとのこと。
その一例が「ゴルフ」。
国内のゴルフ場利用者数は昨年の6月から徐々に回復し、8月には昨年比110%を記録したように、屋外で「密」を回避できるとして営業の最適な場とされることが多いのです。
単なる対面営業ではなく、商談場所にも最大限気を配っているところは流石です。
またゴルファー以外の行動原理として「オンライン営業を補足的に使う」という局所的な対面営業の実施も多く見られました。
「オンライン営業でわかりづらければ対面でも対応する」「オンライン営業で初回商談後、顧客から『実際に会って決めたい』と言われた場合は喜んで訪問する」などですね。
もちろんこの場合も感染予防を徹底することはマストですが。
やはりウェブ完結型商材・サービスでない限り、担当者となる営業マンの人となりが成果に大きく反映するのが実情です。
そのため未だオンラインでのセールスフローが確立しきっていない現代では、「営業マンと会って決める」というステップは顧客側としても購買意思確認のための必須条件なのではないでしょうか。

優秀なセールスほど「オンラインセールスだけ」に拘らない
これらのことからわかるように、最近流行りのセールステックに必要以上に傾倒し、いわゆる「アナログ営業」をコロナ禍という理由だけで排他的に扱っている営業マンは、あまり優秀とは言い難いでしょう。
もちろんセールステックの浸透で営業の在り方は大きく変化し、「オンライン商談」というニューノーマルを生み出した側面は多大なる評価に値する部分です。
それで売上向上を実現させた事例も数多く存在するでしょう。
しかし一般セールスマンとトップセールスマンの差異でわかるように、オンラインセールスのみで完結させようとPCの前に座っているだけでは、組織の中でトップセールスになることは困難です。
優秀なセールスマンは「オンラインに使われる」のではなく「オンラインを使いこなす」という、多面的な戦術の持ち主なのです。
そのためにどちらか一方に偏るのではなく、局所的にオンラインとオフラインを使い分けています。
また実情として、こんなご時世でも営業にとって「顧客に直接会う」ことが生命線であることは変わらないのです。
このようにトップセールスの行動原理を紐解いていけば、自ずと自身が取るべき営業戦術の厚みが増していくはずです。
これからの営業手法と求められる営業能力とは
最後に別の興味深い統計があったので紹介します。
■これから営業活動をどうしていくか?(複数回答)
※トップビジネスマンの回答
1位:対面営業をメインに、オンライン営業を補足的に行っていきたい(45%)
2位:オンライン営業をメインに、対面営業を補足的に行っていきたい(38%)
3位:営業職の数を増やしたい(19%)
約半数のトップセールスは、「対面営業をメインに」営業活動を行っていきたいと回答しております。
営業スキルの高い人ほど、さらなる受注獲得のためには「顧客との接触」がマストとなることを強く認識しているということの表れですね。
またこんな統計も見られました。
■これから求められる営業の能力は?(複数回答)
※トップビジネスマンの回答
1位:コミュニケーション能力(72%)
2位:ヒアリング能力(60%)
3位:プレゼン能力(57%)
第1位、2位は普段と同じ顔ぶれとして、注目すべきは第3位の「プレゼン能力」です。
前述したとおり、トップセールスの多くが「これからの営業活動は対面をメインに、オンラインを補足的に」と述べていたように、今後もオンラインを併用する機会が多くなると考えられます。
その際は従来の対面営業で慣例的に行われていた「雑談」や「御用聞き」がしづらくなる分、画面共有時のオンライン商談資料を用いたプレゼン能力の重要性がこれまで以上に高まります。
このように、アナログとデジタルを掛け合わせる営業戦術を身につけることで、コロナ収束後のニューノーマル時代にトップセールスとして活躍することが可能になると考えられます。
是非第一線で活躍するトップセールスのノウハウを自分のものにし、明日からの営業戦術を練り直してみましょう。