一丁前に決算期で忙殺され著しく更新が滞っていたBitters Clubです。
ご無沙汰しております。
相も変わらず様々な業種の企業様に営業戦略策定・組織構築支援としてお邪魔している近頃ですが、その中で「トップセールスはやはり◯◯で物事を考えているなぁ」と感心させられることが多々あります。
そしてうだつの上がらない営業パーソンに対しても、「◯◯をもう少し意識していればなぁ」と感じることも同様にあります。
この共通する”◯◯”とは何なのか。
そしてトップセールスと呼ばれる方たちは、なぜ”◯◯”を実行できるのか。
というテーマで本日は解説していこうと思います。
基本的に「当たり前」のことが多いですが、その「当たり前」を理解していることと、実施することは全くの別物なので、既知の方もご自身が実施できているかどうか振り返りながらご一読いただければ幸いです。
営業の一流は【顧客がどう感じるか】を最重要視
巷ではよくトップセールスのイメージとして、短髪のスポーツマン体型で口達者、声量が大きくゴリゴリ自社商材を提案してくるような方が挙げられますが、容姿は置いておいて「ゴリゴリ自社商材を提案してくる」時点でトップセールスとは程遠いでしょう。
なぜならそのような押し売りに近い営業スタイルでは顧客が「勢いに負けて契約してしまう」ことによる成約が多く、中長期的に見ると我に返った顧客による解約も増え、スポットでの売上しか挙げられないためです。
「とにかく自社商品はここが素晴らしいのです!」という独りよがりな営業スタイルは、結果的に会社としても顧客としても長期的な満足度は少ないのです。
では本来のトップセールス(営業の一流)はどうなのか。
それはずばり「顧客がどう感じるか?顧客にどのような価値を提供できるか?」といった顧客側の視点をトップセールスは重要視しています。
今一度整理すると
■営業の一流
⇒客観的/顧客目線
・顧客がどう感じるか?どのような印象を持つか?
・顧客にどのような価値を提供できるのか?どのような課題を解決するのか?
■営業の二流、三流
⇒主観的/会社目線
・どのように自社サービスの素晴らしさを伝えるか?
・どのような言い方で早期に契約させるか?
というようなイメージです。
既にお分かりのとおり冒頭の”◯◯”は「顧客目線」であり、逆に言えば「顧客目線」で物事を考えることができれば、顧客の内包する課題解決の提案が可能となり、その結果多くの売上を創出することができる、ということです。
「営業マンが伝えたいこと≠顧客の求めていること」、ということを理解しなければなりません。
これが営業の本質中の本質です。
【問題】トップセールスの顧客目線営業スタイルは?
では具体的に「顧客目線」の営業とはどのようなものなのか。
クイズ形式で解説していきます。
Q.ネクタイを選ぶ時(BtoB営業の場合)
三流は「値段」で選び、
二流は「ブランド」で選び、
一流は何で選ぶ?
制限時間は10秒です。
、、、
そこまでです!
常日頃から顧客目線で物事を考えている方は即答できたでしょう。
正解は、ネクタイを選ぶ時、営業の一流は【コーポレートカラー】で選ぶ、でした。
コーポレートカラーとは、訪問先顧客の会社ロゴやウェブサイトに多く使用されている、企業コンセプトの意味合いをも含む色味のことです。
例えばソフトバンクであればグレー系や白系、NTTドコモであれば赤系などです。
二流、三流で書いたような「値段」「ブランド」は締めている本人は満足気かもしれませんが、訪問先の顧客にとっては大抵プラスにもマイナスにも働きません(逆に相当安っぽければマイナス要因になります)。
ぶっちゃけた話、ロゴがでかでかと印字されているか、相当質の良いネクタイでない限り、大抵の方はネクタイの良し悪しなんて判断できません(場合によってはロゴの主張が強すぎるのは品性を疑われます)。
これぞまさにネクタイをただのファッションとしか捉えていない、主観的で勿体ないネクタイの選び方ですね。
対して顧客のコーポレートカラーの色のネクタイを締めていった時はどうでしょう。
ネクタイの色がライバル会社の営業担当との差を生み出す飛び道具になるわけです。
「私もファミリーの一員となり頑張るべく、まずはネクタイの色からファミリーの覚悟でお伝えにまいりました」
なんてことも作戦として言えたら、顧客側も悪い気はしないのではないでしょうか。
このように「顧客がどう感じるか?」を常に考え、それを表現するのがトップセールスのスキルです。
細かなことですが、細部にこそ魂は宿ります。
こうしてみると単純に「顧客目線」と言っても、表面的な部分ではなくいかに細部にまで気を回す必要があるのか、またそれが蓄積されることによる効果をご理解いただけるのではないでしょうか。
なぜ顧客目線になれるのか⇒圧倒的な「ヒアリング力」「分析力」
ではトップセールスはなぜこのように顧客目線に寄り添い、顧客の課題を解決する的確なアプローチが可能なのか。
それを解説するためにもう1問解いていただきたいクイズがこちらです。
Q.ヒアリング
三流は「ニーズ」を聞き、
二流は「予定」を聞き、
一流は何を聞く?
制限時間は10秒です。
、、、
そこまでです!
答えは、「状況」を聞く、です。
そしてその「状況」から、「問題点」「リスク」「解決策」などを深堀りしていくわけです。
意味が伝わりますでしょうか?
二流、三流のように「ニーズ」「予定」のみを確認していたら、単なる顧客の表面的な要望の言いなりで終わってしまいます。
そこに顧客の内なる課題であったり本質的な理想・希望はキャッチできていません。
しかし、「状況」からヒアリングすることで、顧客が気づいていない潜在ニーズや潜在課題を掘り起こすチャンスが生まれ、より核心をついた提案が実現するわけです。
こういった意味合いで、ズレた提案にならないようトップセールスは顧客の「状況」を入念に、そして多岐に渡り質問します。
そうして蓄積された多大な情報量があるため、それを一つ一つ分析することで顧客側の気持ちになりきって物事を考えることが可能になるわけなのです。
つまり顧客目線で物事を考えるためには、顧客「状況」のヒアリングから得た圧倒的情報量を徹底的に分析することが必要ということですね。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
誰でもできると思われがちな営業職ですが、やはりその中で成果を残している方々は「考える」ということをしています。
ただ単に訪問先で自社パンフレットをつらつらと読み上げるだけではないことがご理解いただけましたでしょうか。
営業の真の目的は「ものを売る」のではなく、「顧客に価値を提供する」です。
あくまでも顧客ありき、ということを忘れずに、顧客にとって最大の価値を提供できるようスキルを高めていきましょう。
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