意外と定着率が低い「セールステック」
近年営業領域において爆発的に導入率が高まってきている「セールステック(営業支援ツール)」。
それは既知のとおり、導入することで営業活動に必要な膨大で複雑なデータを「整理」「管理」「分析」し、より効率的に売上拡大のサポートをしてくれる重要な役割を持つツールです。
近頃では世間の関心も深まり、都内の約2人に1人は「セールステック」「セールスイネーブルメント」の単語を知っているというデータも出ております。
しかしながらそんなセールステック、某ベンチャー調べでは「ツール導入後7割の企業が定着せず」という結果になっているようです。
つまり10社導入しても内7社は社内に定着せず解約してしまっているということですね。
ということで今回は「なぜ定着しないのか」「定着させるためにはどうすればよいのか」を考察してみました。
【セールステックの説明はこちら】
【セールス・イネーブルメントの説明はこちら】
なぜ定着しないのか
では果たしてセールステックはなぜ定着しないのか。
弊社独自の調査で、原因は大きく分けて2点に絞られることが判明しました。
■機能が豊富すぎて営業マネージャー・営業パーソンが使いこなせない
∟基本的に営業パーソンは営業活動以外の業務(報告・分析・書類作成等)が極めて苦手
∟ITリテラシーも高い人材は少数
■高コストでROI(費用対効果)が合わない
∟コストを掛けた以上の効果(利益)が反映されづらい
∟そもそも効率化を図る役割のため業績に紐付けづらい側面があるが、それを導入意思決定者が理解できていない
∟また「管理」「分析」が業績向上のための”手段”であることを忘れ”目的”化している
この辺りが主な要因かと考えられます。
つまり実際にツールを導入しても営業マンが使いこなせず、月額の費用負担も小さくないので解約してしまっている、ということです。
「生産性を上げるために導入したツールが営業マンの生産性低下を招き、更にはコスト的損失を生んでいる」、、由々しき事態ですね。
【ツール選定の6カ条】を活用し間違いのない導入を
では前述の理由によるツールの解約を防ぐためにはどのような対策があるのでしょうか。
それはずばり、
導入前に自社の状況に見合った適切なツール選定をする
ということです。
「とりあえずみんな使っているから」「まずは導入して判断しよう」では自社が本当に必要とする領域との齟齬が生じ、そのギャップから早期にリタイヤしてしまいます。
ですので導入する前に「本当に自社で定着するのか」を正しく見極めて、導入後のギャップを解消することが肝になります。
今回は参考までに「導入前に確認すること6カ条」を一覧にしましたので、少しでもツール選定の参考になれば幸いです。
機能
特にSFAやCRMにおけるツール選定の際に気にするべきなのが、「対応機能」です。
「大は小を兼ねる」の考えで多機能なツールをむやみに導入してしまうそこのあなた、恐らく機能が複雑すぎて使いこなせていないのではないでしょうか。
「AIによる売上予測」本当に今すぐ必要ですか?
「承認プロセス・ワークフロー」自動化しなければいけない程複雑な組織ですか?
等々、「現在自社にとって必要な機能のみ」で十分なのです。
他の機能は必要になった時に考えても遅くはないはずです。
コスト
「知名度の高いツールを導入したが月々の費用負担がやはり大きい…」
なんてことありますよね。
それは至極当然のことで、シェアの高いツールはその分販促コストが高く、多数のリソースを投下しているため必然的に高コストになります。
シェアが低くても素晴らしい機能を持ったツールは数多くあります。
また実績として「誰もが知る大企業」の導入実績ばかり並べられておりついつい魅力的に感じてしまうかもしれませんが、世の中の99%は中小企業です。
大企業は大企業に適したツールがあり、中小企業は中小企業に適したツールがあります。
ですので、事前に「ツールに対する予算は月々○○円まで」と設定し、知名度や導入実績に流されすぎないような選定方法を取りましょう。
使いやすさ
ツールは導入してから営業部隊に定着しなければ導入の意味がありません。
そのためには「自社の営業マンが簡単に使いこなせるか」を重視すべきと考えます。
方法としては、「導入前の無料トライアル」。
いわゆるお試し期間ですね。
近頃はどのツールもトライアル期間を設けているケースが多いので、無料トライアル期間に実際に自社の営業マンに使ってもらい感想をヒアリングする、ことで導入後のギャップを解消できると考えます。
またツールの口コミサイトで実際のユーザーの声を確認することも、まずトライアルを実施するか否かの段階で実施しても良いかもしれません。
ITreview:ビジネス向けのIT製品・クラウドサービスのレビューが集まるWebサイト
モバイルアプリ
モバイルアプリの有無を確認することも一つです。
PCでしか活用しない場合はいざ知らず、クライアント先へ往来する形態の営業職であれば出先で顧客情報を確認したり、突発的な顧客対応をしたりとモバイルアプリの存在は必須となり得るでしょう。
その際はアプリ版のレビューも同時に確認しておくことをオススメします。
サポート体制
有事の際に操作方法等の手厚いサポートを受けられるか、こちらも焦点の一つです。
ヘルプページやガイドブックを活用して解決できれば何よりですが、実際に電話やメール等で具体的に疑問点を質問したいケースも有るでしょう。
その際、サポートに回数・期限制限があったり、そもそも外資系で日本支社が無く英語での質問しか受け付けていない等のツールですと、やはり定着しづらいのは言うまでもありません。
最近は導入後の定期的な勉強会やセミナーを開催するツール会社も増加してきているため、「売って終わり」ではないツールを選ぶようにしていきましょう。
連携機能・拡張性
最後は「連携機能・拡張性」です。
近頃多くのツールは他ツールとの連携が可能となっており、複数のツールで情報を共有し操作の効率性向上を図っています。
わかりやすく言えば、「SFAをGoogleカレンダーと連携させ商談日を自動反映」「オンライン商談ツールを電子契約ツールと連携させ商談から契約までの流れをスムーズに」等々です。
そのため現在自社でメインで活用しているツールと連携できるか否か、を一つの基準にしても良いかもしれません。
また導入後社内に定着してきた場合に「こんな機能があったらな」「こういう風にレイアウトを変更したいな」等の社内要望が発生するかもしれません。
その際に拡張性の高いツールであれば、少しの手間で自社の要望に沿ったツールの構築が可能となります。
中長期的なポイントではありますが、自社の営業マンのリテラシーを基に将来的な拡張性も選別の判断にすることも一つと言えます。
おわりに
セールステックの導入から社内浸透、定着までのプロセスには、少なからず大きなストレスが発生します。
なぜなら営業チームのこれまでの慣習を塗り替える必要があるためです。
人間は将来的に生産性が高まるとしても慣れるまで労力を伴う新たな試みより、慣れ親しんだ現状を優先する性質があります。
そのため只でさえ一つのツールだけでも大きなストレスなのに、「やはり違った」として別のツールに乗り換えてまた社内浸透から定着、、営業チームが拒否反応を起こすのは明白でしょう。
そうならないためにも、導入前に適切に自社に合ったツールを選定し、中長期で使い続けられるようなツールを導入することの重要性が高まります。
現在セールステックの導入をご検討されている経営者様、営業マネージャー様は、是非上記のポイントに沿って吟味してツールの導入を決定していきましょう。
また弊社では【中小企業に特化した】セールステック導入のご支援を致しております。
ご興味をお持ちの方はお問い合わせよりお気軽にご連絡くださいませ。