以前こちらの記事で、「マーケティングの目標を達成するための戦略ツールの組み合わせ」=『マーケティング・ミックス(MM)』という解説をしました。
また同記事のメインテーマとして、「そのマーケティング・ミックスの内、Product/Price/Promotion/Placeの4つのPから成り立つ組み合わせ」=『4P』という点も取り上げました。
というわけで今回は上記を踏まえた上で、4Pの進化版との呼び声の高い【4C】とは何なのかについて解説します。
ラウターボーンの【4C】
前述した「4P」のマーケティング・ミックスが誕生したのは、マーケティング学者のエドモンド・マッカーシー氏が提唱した1960年代。
それから現在まで数十年という時を重ねる中で、当然のことながら社会経済情勢の変化と同時にビジネスにおけるマーケティング思考も時流に合わせた変遷が見られます。
「4P」のマーケティング・ミックスも例外ではなく、当時とは社会情勢が異なる現代において、トピック自体が現在のビジネスを取り巻く環境と若干の齟齬が生じてしまっています。
つまり時を経て少し古い考えになってしまったということですね。
そんな状況下で「何か4Pに変わるフレームワークは無いのか!」という課題から導き出された、4Pをベースとした新たなマーケティング・ミックスがまさしく今回ご紹介する【4C】です。
「4P」と「4C」の特徴的な違いとしては、
4P・・・主観的目線(売り手側の視点)
4C・・・客観的目線(買い手側の視点)
という点です。
従来の「4P」の考え方では主要項目は抑えられていても実際に商品を購入する顧客目線での考え方は実現しないとして、より客観的にマーケティング・ミックスを紐解いたものが「4C」となります。
今回はそんなより現代の時流に沿ったマーケティング・ミックスである「4C」の「C」を一つ一つ解説します。
因みにこの「4C」ですが、アメリカの経済学者ロバート・ラウターボーン氏が1990年代に提唱したものであるため『超最新』というわけではないのですが、未だこれに置き換わるマーケティング・ミックスが誕生していないという点から、一先ず最新のフレームワークという位置づけになっています。
Customer solution (顧客ソリューション)
まず1つ目の「C」は、「Customer solution」。
一言で言うとすれば、「顧客が抱える問題や課題をいかに解決するか」ということです。
そしてこれは「4P」の内の「Product (製品)」に置き換わる位置付けとされています。
つまりProductのように「ニーズ(需要)に応えた製品」という枠組みで考えるのではなく、「その製品が顧客のどのような課題を解決するのか」といった顧客視点で客観的に設計する、というのがポイントです。
このようなフレームワークにより、より商材・サービスとしての価値が明確になることが利点として考えられます。
Customer cost (顧客コスト)
2つ目の「C」は「Customer cost」。
こちらは「4P」の内の「Price (価格)」に置き換わる位置付けとされています。
Priceが「ニーズに応えた価格」という点では一見同じ意味合いのように見えますが、本質的な部分で異なります。
Price (価格)
∟企業側が設定する商材価格(値引きやキャッシュバック等を加味)
Customer cost (顧客コスト)
∟ターゲット顧客が自身の経済状況を踏まえた上で支払うコスト
少しだけわかりやすくなりましたでしょうか。
「Price」はあくまで企業側が「市場調査によりニーズはこの程度のため、価格設定はこういう風に設定する」と考えるところ、「Customer cost」では「実際に商材・サービスの対価としてコストを負担する顧客が価格をどのように捉えるか」という点にフォーカスしています。
より客観的で俯瞰的なコスト設定ということになります。
このような考え方により、より実情に即した価格(コスト)設定が可能になるということです。
Communication (コミュニケーション)
3つ目の「C」は「Communication」。
こちらは「4P」の内の「Promotion (販売促進)」に置き換わる位置付けとされています。
「Promotion」では「どのように顧客に対しての販売促進戦略を立案するか」というポイントに重きが置かれますが、こちらもより顧客目線での捉え方として、「Communication」では「プロモーションやアフターサービス等企業と顧客の中長期的な関係性」に注目しています。
一つのトレンドとしてサブスク型ビジネスが注目されている現代でも、この考え方は理に適っていますね。
企業側としても「顧客との関係性の構築」を見据えることにより、より本質的で良好な取引が実現することと思われます。
Convenience (利便性)
そして最後の「C」は「Convenience」。
こちらは「4P」の内の「Place (流通)」に置き換わる位置付けとされています。
こちらも「Place」の概念である「ニーズに応えた流通」という視点をより客観的なものとし、製品やサービスの入手しやすさ、つまり「顧客にとって流通経路が便利か」という点に着目しています。
どんなに顧客ソリューションが叶っていても、どんなに顧客コストが魅力的な商品でも、「どこで手に入れられるか」という部分が不明確であったり煩雑な場合は成約に至りません。
その点をあくまで顧客目線で的確に捉えて、然るべき販売経路を設定するということです。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
一つ一つの「C」の解説で、従来の「4P」より「4C」のほうがより客観的目線で市場を反映したマーケティング・ミックスだということがわかっていただけたかと思います。
勿論自社のこだわりや強みを加味した4Pのような商材戦略も大切ではありますが、あくまで事業として行う場合はこのような市場を鑑みた顧客目線のマーケティング戦略を構築していきたいものです。
早速明日から自社の「4C」を改めて洗い出し、不足している「C」があった場合は新たに当て込みそれを深堀りすることによって、販売促進の最大化を実現していきましょう。