「CPC500円の時CVR1%としてCPAが50,000円だからLTV加味するとROI高いよね」
最近巷でこのような会話を耳にすること、よくありませんか?
まぁ私はそんなに多くはないのですが、先日某マーケターが至極当たり前のようにそんなことを言っていたので、改めて各単語の意味をおさらいしてみました。
そしてその中で最も重要と思われる【LTV】について今回は解説しようと思います。
紙媒体の広告からウェブマーケティングが主流になりつつある昨今、最低限のマーケティング用語は押さえておき、時流に乗り遅れないようにしたいものですね。
LTV(CLV)とは
LTV = Life Time Value = 顧客生涯価値 = Customer Lifetime Value = CLV
LTV(CLV)とは、売り手側から見た顧客の価値、すなわち顧客が売り手にもたらしてくれる利益のことを言います。
それも、「一生涯分の利益」を指します。
簡略化すると、「1人(社)の顧客からトータルいくら稼げるか」という利益を数値化したものです。
これが適切に設定されていることにより、その1人(社)のための顧客獲得コストをいくらに設定しておけばどれほどの利益が捻出できるのか、の収支計算が可能となります。
因みにウェブマーケティング業界では英語で言う「Hello」、ゲール語で言う「Madainn mhath」と同じくらい当たり前に使われている単語の一つです。
※不動産投資用語で「LTV = Loan To Value」といったものがありますが、全く別物なので不動産関係者は混同しないようご注意を(私は混同して恥をかきました)!
LTVの計算方法
では「LTVとは何なのか」がざっくり理解できたところで、具体的な計算方法に移っていきます。
いくつかの計算方法がありますが、簡単なのは次の計算式です。
顧客の年間取引額 × 取引継続年数 × 通常の利益率 = LTV(顧客生涯価値)
以上です。
1人(社)の顧客が年間で自社に支払う金額に、継続して使ってもらえる年数を乗じて、そこに通常通り自社の商材の利益率を乗じると、LTVが算出できます。
文字通り「顧客生涯価値」ですね。
そしてもう既にお気づきの方がいらっしゃるかと思いますが、このLTVは商材によって乗じる数値が大きく異なります。
例えばレストランの場合ですと
12万円 (顧客の年間取引額) × 3年間想定 (取引継続年数) × 大体60% (通常の利益率) = 22万円 (LTV:顧客生涯価値)
概算でこのようになります。
もちろんこれは一例であり、「顧客の年間取引額」が店舗によってはより高額な場合もありますし、「取引継続年数」もより長い場合もあります。
そしてこれは「1顧客あたりの生涯価値」を算出しているため、できれば商品・サービスの平均値でなく中央値で計算できると尚良いですね。
また新築住宅の例ですと
2,000万円 (顧客の年間取引額) × 1年のみ (取引継続年数) × 大体30% (通常の利益率) = 600万円 (LTV:顧客生涯価値)
以上がLTVとなります。
注目していただきたいのは「取引継続年数」です。
通常一般的にはマイホームを購入するのは一生に一度ですよね。
そのため新築住宅の場合の「取引継続年数」は飲食店や美容室等と異なり、1以上にはなりづらいのです(竣工後の修繕等は置いておいて)。
ということで、計算方法は同じでも商材によって乗数が変わっていくため、自社の商材を想定して適切に計算できるようにしたいものです。
なぜLTVを算出するのか
ではこのLTVが何の役に立つのか、という点ですが、冒頭でも記したように「顧客獲得コストを設定するための指標」になります。
例えば先程の新築住宅の例。
2,000万 (顧客の年間取引額) × 1年のみ (取引継続年数) × 大体30% (通常の利益率) = 600万円 (LTV:顧客生涯価値)
この場合LTVが600万円でした。
言い換えると「1顧客あたりの生涯利益」が600万円でした。
ということは、「600万円以下に顧客獲得コストを抑えれば利益が出る」ということなんですね。
このようにして、広告費をいくらまでに設定するか等々を検討していくわけです。
※因みに「顧客獲得コスト = CAC」と言いますが、また別で解説します
おわりに
LTVの概要、計算方法、活用方法がお分かりいただけたかと思います。
そして早速自社のサービスと照らし合わせて計算された方もいらっしゃるかもしれません。
すると1つの結果が浮かび上がってくると思われます。
それはずばり、、
新規顧客を獲得するよりも、現在の顧客を継続して維持したほうが利益が多い
住宅等の非継続型のサービスを除いて、多くのサービスはここに辿り着くと思います。
いかにリピーターが大切かということが定量的に浮かび上がってきます。
これぞまさに「バケツ理論」ですね。
しかしそうは言ってももちろん継続顧客を維持すると同時に新規顧客を獲得しなければならないわけで、その際にこちらのLTVは重要指標の一つとなり得るでしょう。
まだまだ多くのサービスには未知なる潜在顧客が存在するのも事実です。
自社のLTVを明確にし、新規顧客獲得のための適切なマーケティング・営業戦略を策定していきましょう。