大変ご無沙汰しております、Bitters Clubです。
近頃は新規メンバー電撃加入やそれに伴う案件増加により、業務に忙殺されるありがたい日々を過ごしておりました。
おかげさまでご支援エリアも県外に拡大し、今月より会社初となる九州地方のPJに参画させていただくことに。
引き続き世の中小企業様を中心に、数ある営業課題解決の一助となれるよう尽力する所存です。
中小企業は大手企業と戦えるのか
さて、今回のテーマは「中小企業の戦い方」についてです。
弊社のクライアント様は概ね従業員規模10~500名程の、世間一般で言うところの「中小企業」が多いことが特徴なのですが、サービスの市場(マーケット)によっては「大手企業」と呼ばれる経営資源(ヒト、モノ、カネ)が中小企業とは比にならない巨大勢力と相対を余儀なくされるケースがございます。
その場合、大手企業に対して既存シェアを奪い取るために価格優位性で戦うのか、それとも先行投資で大手企業を上回る広告費を費やし新規シェア獲得を目論むのか、、様々な戦略を熟考することでしょう。
しかし、結論から申し上げるとすれば、”大手企業と真正面から戦っても勝ち目はない”のが現実です。
価格の優位性(リーズナブル)を強みに同じ市場で戦ったところで、信用ある大手企業がエントリープランとして同価格帯サービスを展開するかもしれませんし、運良くシェアを広げていった先には大手企業のコスト構造と同様の課題も浮き彫りになります。
それ以前に規模の経済でシェアを獲得する前に力尽きてしまう可能性すら存在します。
先行投資による同マーケットでの展開も同様です。
既に大手企業が潜在ニーズを掘り起こしている最中の市場に飛び込むのですから、それを上回り新規シェアを獲得するには大手以上の販促費を捻出する必要があります。
現実的に考えて再現性が高いとは言い難いでしょう。
では中小企業はどのようにして魑魅魍魎が跳梁跋扈する日本のビジネスシーン(←大袈裟ですが)を切り開いていけば良いのでしょうか。
今回はそちらをテーマにマーケティング理論を用いながら切り込んでいきます。
中小企業は【ランチェスター戦略】で戦え!
見出しのとおり、世の中小企業は「ランチェスター戦略」という法則を活用することで、大手企業と真正面から戦わずして売上、利益を創出する戦略構築が可能となります。
別名”弱者の戦略”などとも呼ばれています。
※便宜的に「大手=強者」「中小=弱者」と捉えているだけで、必ずしも中小企業が劣る、という意味ではございません
まずは以下がランチェスター戦略が確立されるまでの経緯となります。
■ランチェスター戦略
イギリスの航空技術者であるフレデリック・ランチェスター氏が第一次大戦中の空中戦を分析して、どうすれば戦いに勝てるかを、法則としてまとめたものが原点。
それが第二次大戦での軍事利用を経て、戦後経営学の視点から注目され、日本でも田岡信夫氏の『ランチェスター販売戦略』などが出版されて、経営戦略として普及。
提唱者が学者ではないところも面白いポイントです。
やはりマーケティングに限らず、戦略的な思考は様々なフィールドで活かせることがお分かりいただけますね。
では具体的にランチェスター戦略とはどのような戦略なのか。
大きく2つの法則に分かれるため、以下で解説します。
第1法則(弱者の戦略)
まずはじめに第1法則は弱者の戦略とされ、以下のような経営戦略のことを指します。
■第1法則(弱者の戦略)
①競合相手の少ない市場で戦う(一騎打ち)
②小さいセグメントで戦う(局地戦)
③大規模な広告よりも、きめ細かいコミュニケーション(接近戦)
これらからお分かりのとおり、ランチェスター戦略から導き出される最も重要な原則の一つが「一点集中」です。
中小企業でも、経営資源を小さな市場に一点集中させれば、大手企業がその市場に投じる経営資源を上回る可能性があります。
つまり”一点集中のマーケットで強者に勝つ可能性が生まれる”わけです。
げんこつハンバーグの炭焼きレストラン「さわやか」 の実例
これには好事例がございます。
我らがBitters Clubが拠点を置く静岡県で、”日本で圧倒的な知名度を誇るハンバーグレストラン”をご存知でしょうか?
そう、げんこつハンバーグの炭焼きレストラン「さわやか」です。
静岡県外の方も一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
この「さわやか」が行ったランチェスター戦略がまさに第1法則の「②小さいセグメントで戦う(局地戦)」です。
主には以下です。
「さわやか」が行ったランチェスター戦略第1法則《局地戦》
1. 主要メニューをハンバーグに絞り込み、「ハンバーグが美味しい店」の意識付け
2. 全34店舗(2021/10/18現在)の出店地域を静岡県内に限定し、希少性と特別感を演出
これぞまさにランチェスター戦略が奏功したと言わざるを得ないですね。
緻密な戦略に裏付けされた出店エリアに高品質な商品力が相まったことが隆盛を極めた大きな要因の一つだったのです。
第2法則(強者の戦略)
ここまでランチェスター戦略の”第1法則(弱者の法則)”を解説してまいりましたが、実は第2法則では”強者の戦略”が説かれています。
ランチェスター戦略は中小企業だけのものではなく、大手も中小も規模に合った戦略を取りましょう、ということなのですね。
また敵の戦略を知ることで”第1法則(弱者の法則)”をさらに研ぎ澄ませていく、という意味合いでも、認知しておくべきと考え以下で解説します。
■第2法則(強者の戦略)
①数対数で勝負する(確率戦)
②大きな市場で戦う(広域戦)
③大規模な広告をうつ(遠隔戦)
ご覧になっていただきお分かりのように、”第1法則(弱者の戦略)”の真逆を取っています。
いわゆる大手企業だからこそ実現可能な、「総合力」で戦う戦略ということですね。
事例は割愛しますが、パッと頭に思い浮かぶ大手企業はやはり「ローラー作戦」「マスマーケティング」など、第2法則に基づいた施策を実施しているような印象です。
おわりに
中小企業の根本的な経営戦略の指標となる「ランチェスター戦略」、ご理解いただけましたでしょうか?
知らず知らずのうちに大手企業が競合となるような施策を取っている中小企業の経営者様は、これを機に経営戦略を見直しても良いかもしれません。
また、既にランチェスター戦略を取り入れている中小企業様は、より研ぎ澄ませて独自性を高めるために内容をブラッシュアップしても良いかもしれません。
何れにせよ自社に最適なフィールドで最良の戦術を駆使できるよう、企業規模の大小問わず常日頃から経営戦略に目を向けていければ幸いです。