巷で噂の「インサイドセールス」とは?

「インサイドセールス」

この言葉をご存知でしょうか。

ベンチャー・スタートアップを中心に浸透して数年が経ちますが、未だに「インサイドセールスって何?」と質問を受けることも少なくないため、今一度簡潔に解説していきたいと思います。

営業領域も時流に沿ってアップデートされているということをご認識いただき、自社の営業組織活性化に活用していただければ幸いです。

結局「インサイドセールス」って何?

ものすごく簡潔に概要のみお伝えするとすれば、「電話を活用した営業活動」です。

え?

ということはただのテレアポなの?

と思ったそこのあなた。

厳密には異なります。

具体的には下記の点で異なります。

■テレアポ

・アポイント(商談)を獲得することを目的とした営業手段

・とにかくアポイントの獲得数が多ければ多いほど評価される

・一度架電した顧客には以後架電を行わないケースが多い

■インサイドセールス

・ヒアリングを重視し、質の高い商談をフィールドセールス(商談担当)にトスアップする

・「今すぐ顧客」or「中長期顧客」の選別を判断する

・中長期の顧客には定期的にメールや電話でコミュニケーションを取り、上質な顧客データを生成、管理する

両者似て非なるものですが、イメージは掴めますでしょうか。

これまで従来の新規開拓手法であった「テレアポ」は顧客のニーズやタイミングなどは全く加味せず、「とにかくアポイントを!」という力技に近い形の営業活動でした。

そのため、いざ商談担当者が顧客と相対する際には顧客が全く商材の必要性を感じていない状態も多々あったのです。

それを無理やり成約に結びつけようとするものだから、「テレアポ=押し売り」の構図が出来上がってしまったのです。

それに対して「インサイドセールス」は、従来のテレアポよりもハイレベルなスキルが求められます。

なぜならインサイドセールスは「押し売り」スタイルではなく、適切に顧客からヒアリングし潜在ニーズを掘り起こし、関係構築をした上で「この顧客の課題は自社サービスで解決できるかもしれない」となった場合に、確度の高いアポイントとして商談機会を設定するためです。

それにはインサイドセールスのヒアリング力はもちろんのこと、課題解決のサービスを的確に充てがう商材知識、また顧客のニーズ、導入時期を見極める高度な判断力も必要となります。

また中長期でお付き合いをしていく顧客に対しての定期的な情報発信は、顧客との良い関係構築が大前提となるためコミュニケーション能力も求められるポジションです。

その点が無差別にアポイントを設定しまくるテレアポとは大きく異なります。

最近の言葉で言えば、インサイドセールスは「リードナーチャリング(見込み顧客の育成)」を行うことが目的とも言えるでしょう。

インサイドセールスの活用方法・メリット

上記でも少し挙げたとおり、インサイドセールスは営業活動の一種であり、同時に一連の営業フローのポジションの一つでもあります。

従来の営業では【テレアポ⇒商談⇒契約】までを一人の営業担当者が担っていました。

しかしインサイドセールスの活用方法はそれとは異なり、下記のようなイメージとなります。

①マーケティング

・説明会、展示会、ウェブ広告、紙面広告などで顧客リストを生成

②インサイドセールス(IS)

・①の見込み顧客との関係の醸成⇒ニーズの高い顧客へ商談提案

③フィールドセールス(FS)

・②で創出された商談担当⇒成約へ

④カスタマーサクセス(CS)

・主に成約後の顧客へのアフターフォロー

これらの①~④のフローを営業チーム全体で分業化して行います。

それによりフィールドセールスが高確度の商談に集中して臨むことが可能となり、また中長期顧客の定期的なコミュニケーションの抜け漏れをインサイドセールスが防止することを実現します。

また①~④の各領域にKPIを設定することで、成果の経過観測がより可視化されるという利点もあります。

このようにインサイドセールスというポジションを設定することで、チームとして営業組織がより機能するというメリットが得られます。

インサイドセールスのデメリット

では逆にインサイドセールスのデメリットは何なのか。

それは、適切な営業組織全体の運営が必須という点です。

一連の営業フローを一人で担う場合は自身の裁量でコントロールできますが、これらを複数人で分業化する場合は各領域ごとのトスアップ時に齟齬が生じる場合があります。

「インサイドセールスから繋がれたアポイントが中長期顧客だった」「インサイドセールスが商談設定をしてくれたのは良いが、ヒアリングが不足しており商談準備に支障が出る」などです。

これを解消するためには、インサイドセールスを導入する前の事前設計や、ヒアリング項目、トスアップ基準などを明確に定めておく必要があります。

また、アカウント営業*を主としている営業組織においてはインサイドセールスが不向きな場合が存在する点も注意しておかなければなりません。


* アカウント営業:顧客の組織や事業について広く深く情報収集したうえで課題を聞き出し、それを解決するためのソリューションを提案していく営業方法

インサイドセールスの実情

このようなインサイドセールスですが、都内を中心に導入しはじめている企業が増えており、セールステック関連のメルマガを1日30件程受信している弊社にも当然多くの各社インサイドセールスからの連絡が着ます。

では実際にテレアポと異なり、ヒアリングに重きを置いて潜在ニーズを掘り起こすような内容なのか、、

残念ながら、従来のテレアポと同じ類が大半な印象です。

「とにもかくにもまずはオンラインで一度打ち合わせを」のような話の展開が多く、そこにこちらのニーズは加味されていないように感じてしまうことが少なくありません。

また詳細は避けますが、極めて杜撰で稚拙なインサイドセールスで、「インサイドセールスが介在することで自社サービスのブランド価値を毀損してしまうのでは?」と心配になるようなケースも稀に存在します。

これらの要因として、「KPIを商談獲得数で設定している」という点が挙げられるでしょう。

アポイント獲得数を中間指標にするならば、それはテレアポと変わりありません。

であるならば「ヒアリング項目を全てクリアした上で、ニーズが明確化したアポイント数」でKPIを設定するなど、インサイドセールスならではの目標値を設定する必要があるでしょう。

まだまだ普及して間もない領域でもあるため、弊社含め今後の領域全体のクオリティ向上に期待したいところです。

インサイドセールスを活用しましょう

元来国土の狭い日本では、営業活動というと訪問営業が主でした。

それに対し、国土が広く訪問営業にコストがかかりすぎてしまうアメリカでインサイドセールスが広く普及されたという経緯があります。

今やアメリカやヨーロッパの営業パーソンの約半数の割合がインサイドセールスという統計もあるくらいです。

そして日本でも、新型コロナウイルスの影響で対面での営業活動が困難になり、非対面の内勤営業(=インサイドセールス)の重要性が高まってきております。

単なるテレアポ部隊ではなく、マーケティングとフィールドセールスの橋渡しとして、インサイドセールスの適切な運用をしていければ何よりです。

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